事務所ニュース:No.83 2019年4月20日発行

改正相続法 ~義父母の介護も相続時に評価されるようになります

弁護士 髙橋 右京

● 40年ぶりの相続法大改正

 昨年7月6日、約40年ぶりの民法の大幅改正があり、相続に関するいくつかの規定が改正されました。そのうちここでは「特別寄与料」という制度についてご説明いたします。

● 改正の概要~相続人の配偶者の貢献も評価されるように

 これまでも、被相続人の生前、その療養看護などに努め被相続人の財産の維持・増加に寄与した相続人は、その維持・増加した分の財産を「寄与分」としてその他の財産とは別枠で受領できる、という制度がありました。
 しかし、この「寄与分」が認められるのはあくまで「相続人」だけです。相続人の妻がいくら夫の父の介護に努めても、妻は相続人本人ではないので寄与分を主張することはできなかったのです。このような場合に、相続人でない「親族」の貢献も正当に評価されるよう新設されたのが、特別寄与者による特別寄与料の支払請求権です(新民法1050条1項)。

● 具体的なケース

 例えば、夫の父親の介護で大変な苦労をされる女性は多いと思いますが、この女性は義父の「相続人」ではないので、この女性の貢献度は、「寄与分」として評価されることはありませんでした。しかし今回の改正では、この女性による介護が「被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をした」と認められれば、女性は自らの権利として、相続人に対して「特別寄与料」を支払うよう、請求することができるようになったのです。
 ただし、この請求権が認められるためには、一定の手続を経る必要があったり、権利行使の期間制限があるなど、注意すべき点がいくつもあります。詳しくは、ぜひ弁護士にご相談ください。

人権と民主主義を脅かす改憲でいいの?

弁護士 萩尾 健太

 日本国憲法は、私たちの基本的人権の保障を明記し、侵略戦争の反省に立って、9条で戦争放棄、戦力不保持を定めています。しかし昨年、自民党は4項目の改憲素案をまとめ、今年中の改憲発議を狙っています。

9条に自衛隊明記でどうなる?

 自衛隊を明記する改憲をしても現状と何も変わらない、と安倍首相は言っていました。しかし今年は、地方自治体が自衛隊員募集のための名簿提供に非協力的だから、との理由を説明しました。警察にも消防にも提供していない個人情報を自衛隊にだけ特権的に提供しようとするもので、徴兵制への道です。しかも、改憲素案では、従来の「必要最小限」を超えて「必要な措置」をとるとしており、海外参戦と戦死者発生の悲劇に道を開きます。内閣総理大臣を自衛隊の最高の指揮監督者としており、自衛隊出動への国会の統制潜脱に繋がります。安倍政権のもとで軍事費は年間5兆円を超え、2兆円以上ものローンでアメリカからの兵器爆買いもされました。9条に自衛隊が明記されれば、軍拡と福祉切り捨てがさらに加速します。

緊急事態条項はなんのため?

 すでに自然災害については災害対策基本法、テロについては警察法、戦争については安保法制に緊急事態の規定があります。このうえさらに憲法に盛り込むのは、国会の審議なく政府の政令で人権を制限する、という法律ではできないことをするためです。まさに独裁です。

安倍政権は退場を!

 沖縄では、県民投票で圧倒的多数が辺野古新基地建設に反対票を投じました。ところが、安倍政権はこれを無視して基地建設を続けています。地方自治、民主主義を侵害する安倍政権に改憲の資格はありません。今度の選挙で退場してもらいましょう。

コラム:身柄拘束のあり方を変えるきっかけに

弁護士 米倉  勉

「人質司法」の実情

 日産自動車の元会長が経済事犯の容疑で逮捕・起訴されている事件。わが国の刑事手続きにおける身柄拘束の前近代性を、あらためて痛感させられました。起訴前にはそもそも保釈という制度がなく、起訴後も否認している限り保釈が認められないという実情は、国際的標準としては異例なものです。さらに、否認すると逮捕だという対応、取調べに弁護人の立会権がない、黙秘権はあっても取調べを拒否することは出来ないなど、長期の身柄拘束による「人質司法」は、冤罪の温床であるし、それ自体が手続的正義に反します。でも、悲しいかなこれが長年の実情であり、私達弁護士も半ば諦めの境地で抗ってきたというのが実態です。
 今般、フランスをはじめとする海外からの批判( それ以前に驚きの声)を梃子にして、108日もの身柄拘束の末に、やっと保釈されました。でも、このような実態は珍しくないのです。

「盗聴法」と不当捜査の現状の下で

 この保釈の実現に当たって弁護人が、保釈の条件として自宅前の監視カメラ設置、通話記録の裁判所への提出などを申し出たことについては、そこまで被告人の自由を束縛することについて、やや不満も残るところです。しかしこれも、既に盗聴法の運用によって事実上通話は筒抜けの実態だろうし、令状なしに24時間の監視も行われているのです。弁護人のぎりぎりの判断もやむを得ないところかと思い直し、ここでも刑事手続の現状に気づきました。

この事件をきっかけに…

 「外圧」による改善は情けないですが、この事件をきっかけに問題点が認識されることで、制度改革が進むことを期待したいと思います。