事務所ニュース:No.84 2019年10月15日発行

民法(相続法)改正
亡くなった方の預貯金を、すぐに払い戻してもらえる制度が作られました

弁護士 吉田悌一郎

亡くなった方の預貯金をすぐにおろしたい?

 遺族の方にとっては、葬儀費用や、当面の遺族の方の生活費にあてるために、亡くなった方の預貯金をすぐに引き出したいというニーズがあるかと思います。
 他方で、従来の裁判例では、亡くなった方(被相続人)の預貯金は、原則として相続人の1人が単独で払い戻すことができず、他の共同相続人の同意がいるとされていました。

今回の民法改正でどう変わった?

 今回の民法(相続法)の改正で、被相続人が亡くなった時点(相続開始時)の預貯金額の3分の1に、その相続人の法定相続分を乗じた額については、他の相続人の同意がなくても単独で払い戻しをすることができるようになりました。
 ただし、単独で払い戻しできる金額は、金融機関ごとに150万円を上限にするとされています(改正民法909条の2)。

具体的なケース

 たとえば、被相続人がA銀行に1200万円、B銀行に2400万円の預金を持っており、相続人がCさんとDさんの2人だった場合を考えます。この場合、Cさんは単独で、A銀行およびB銀行からそれぞれ150万円ずつ払い戻しをすることができ、それについて共同相続人であるDさんの同意を得る必要はありません。

オリンピック選手村土地投げ売り訴訟の最近の状況

弁護士 千葉 恵子

1.

 本訴訟はオリンピック選手村の敷地が時価の約1割で大手デベロッパーに譲渡されたことについて、都民の財産を適正な価格で処分すべきと問題にしている訴訟です。
 2019 年9月13日、弁論期日がありました。毎回、双方の代理人が意見陳述を行いますが、今回も行い、原告ら代理人として私が意見陳述を行いました。今回の主張の主な内容は、鑑定士による意見書を元にオリンピック要因を考慮した場合の土地価格がどうなるか、ということと、事業者の負担を最小限にして、時価の1割で簡易に短期間で処分できるような筋書きを描いたパシフィックコンサルタンツ株式会社作成の「選手村開発方針検討支援業務報告書」についての主張です。鑑定価格と処分価格との差額は約1480億円です。このような異常な低廉な価格で都議会や財産価格審議会にもかけずに処分できるような仕組みが考えられ、その枠組みで進められたのです。

2.

 2019 年7月26日、小池東京都知事は「最終的な住宅分譲販売収入が当初の想定を1%以上、上回った場合、増収分の半額を特定建築者が東京都に追納することで合意した。」と発表しました。
 この動きは、都民の地道な活動、本訴訟などから、この問題が知られるようになってきて、何らかの対応を東京都もせざるを得なかった、ということであると思います。しかし、都知事の発表内容は都有地の適正な価格での処分、という点からの反省に基づくものではなく、お茶を濁す程度ですませてはいけないと考えます。
 訴訟も正念場を迎えつつあります。頑張っていきたいと思います。
(当事務所の弁護団員は淵脇、小林、吉田、山田、 千葉です。)

コラム:JAZZの誘惑 vol.2 ~「美音」な名盤

弁護士 髙橋 右京

 ご好評につき、ジャズの名盤紹介の第2弾。今回のテーマは「良い音」です。ジャズは生の楽器が中心の音楽ですから、音の良さを楽しむのも大事な要素です。そこで、私がもっているアルバムの中から、特に録音がよいものを2枚選んでみました。少しだけ大きい音で聴いてみてください。日々のストレスも吹っ飛びますよ。

1. Art Pepper “mee ts The Rhythm Section”

 ウェストコースト・ジャズを代表するアルトサックス奏者、アート・ペッパーの1957年録音の作品。60年以上前の録音とは思えない、目の前で演奏しているかのような生々しい音を聞くことができます。湿り気を帯びたサックスの音色と乾いたドラムの音がひたすら気持ちいいです。

2. Frank Sinatra “SINATRA AT THE SANDS”

 大スター、フランク・シナトラが、カウント・ベイシー・オーケストラと共演したライブ盤。いかにもラスベガスのディナー・ショーというリラックスした雰囲気、ビッグ・バンドの迫力、シナトラの深い歌声が、見事に録音されていて、自分もその場にいるかのような雰囲気を味わえます。この当時の技術でどうやって録音したのか、謎です。