東京五輪・パラリンピックの選手村整備で、都が都民に1200億円の損失を与える「都の脱法行為に適正な勧告」を求めた住民監査請求は、認めらなかったが、異例の「意見」が付されました。

時価1300億円の都有地が、9割引で開発業者に譲渡された問題をめぐり、6月15日、請求人らは監査委員に対し意見陳述を行いましたが、7月19日監査請求は認められませんでした。しかし都に対し、手続きや情報の透明性を求める、異例の「意見」が付されました。

【6月15日】

 監査委員は、請求人及び監査対象局から、意見陳述を聴取しました。
 請求人側からは、臨海都民連代表世話人・中野幸則さん、代理人の淵脇みどり弁護士がそれぞれ陳述しました。
 淵脇弁護士は、都が都民に1200億円の損失を与えるような、脱法的行為で締結された、晴海オリンピック選手村敷地譲渡契約について、その内容を都民にとって適正なものに直すか、現段階では譲渡契約そのものを見直すことができるので、この損害の補填または回避のため、適正な勧告を都知事に対して行うよう、監査委員に意見陳述しました。

【7月19日】

 住民監査請求の結果が出ました。監査請求は認められませんでした。
 しかし、最後に「意見」として、下記の文章が記載されました。
 「本件事業を第一種市街地再開発事業(個人施行)で実施することに伴い、再開発法に基づき、都が、地権者、施行者、認可権者の三つの役割を併せ持つことになった。
 このことにより、本件土地を巡る一連の手続きが、中立的かつ公正な監視や牽制の下で行われないとの懸念を生む状況が生じた。
 監査の結果、本件事業の一連の行為において、違法不当な事は無かったと認められるが、上記の状況を踏まえれば、都には、内部牽制体制の構築や、事業手法決定に関する情報開示などについて、通常以上の対応が求められる。
 本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞く等の内部牽制体制を強化する事や、意思決定過程及び決定内容についてきめ細やかな対外説明を行うなどにより、これまで以上に透明性の確保に努められたい。」

 東京都へ向けたこのような『意見』の付記は、極めて異例の対応であるとともに、「問題の本質が、本件事業における都政と大企業の癒着と隠蔽の危険性にある」点を指摘する重要なものです。

 7月26日18時30分より、江東区文化センターで監査結果の報告集会を行い、住民訴訟の為の意思統一をする予定です。興味のあるかたは、是非ご参加下さい。

江東区文化センター
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