事務所ニュース:No.89 2022年4月25日発行

晴海オリンピック選手村・不当判決、控訴審へ

弁護士 千葉 恵子

 2021年12月23日、晴海オリンピック選手村投げ売り訴訟について東京地方裁判所で判決が言い渡されました。
 判決内容は、舛添要一元都知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分は却下、それ以外の原告らの請求はいずれも棄却する、というものでした。

 本件は、東京都が晴海オリンピック選手村敷地を含む広大な都有地を、都市再開発制度を脱法的に利用して、都議会、財産価格審議会にもかけず、都民が知らないまま、短期間で、鑑定書でもない調査報告書だけを根拠に時価の1割以下という廉価でディベロッパーに譲渡したことを問題にしている訴訟です。更地が対象であり、地権者、施工者が東京都、認可権者が東京都知事、唯一の地権者東京都は全ての土地について金銭給付の申出をして、所有権を失う、という都市再開発法が予定しているとは到底言えない極めてまれな事例です。
 都有地を処分する際に通常予定される第3者のチェックもなく、本来なら適用されるべき法律の規定の適用も受けず、都民の知らないままに廉価に売却されたのです。

 地裁判決は、本件の実態・異常性を理解せずに、原告らの請求を退ける不当な判決です。原告らは、2021年12月28日に控訴をして、現在控訴審に向けての準備をしているところです。その中であらためて、東京都もですが、司法も住民自治を軽視していることを感じています。

 引き続き頑張って参りますので、ご支援宜しくお願いします。
(当事務所の弁護団:淵脇、小林、吉田、山田、千葉)

成年年齢が18歳となりました。

弁護士 小林 容子

 選挙権年齢や憲法改正国民投票年齢が18歳と定められたことにあわせて、2022年4月1日から成年年齢が18歳となりました。これには、若者の自己決定権を尊重し、積極的な社会参加を促すという意味もあります。
 また、これまで結婚ができる年齢は、男性は18歳、女性は16歳とされていましたが、女性の結婚できる年齢を18歳に引き上げ、男女同一の年齢となりました。社会・経済が複雑に発展した今日、結婚できる年齢についても社会的、経済的な成熟度に着目すべきですが、これは男女で違いはありません。今、高校進学率が98パーセントを超えているので、男女とも高校卒業程度の年齢が妥当だとされたのです。

 成人年齢が引き下げられると、これまで親の同意なく契約した場合に認められていた取り消しができなくなってしまいます。既に、成年年齢の引き下げを見越して、悪徳商法などによる消費者被害が報告されています。投資話、高額なエステ、美容医療の契約、定期購入契約など、様々です。契約をする前に、信頼できる人に相談するなど、よく考えることが大事です。万が一契約してしまった場合は、直ぐに消費者センターや消費者ホットライン等に相談しましょう。

 なお、成年年齢が引き下げられても、酒、タバコの年齢制限はこれまでどおり20歳のままですし、公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)の年齢制限も20歳のままです。これらの年齢制限は、健康への悪影響やギャンブル依存症対策から定められたもので、従来の年齢制限を維持することとなったのです。
 また、離婚後既に取り決めた養育費の支払終期には影響しません。養育費は、子が未成熟で経済的に自立することが難しい場合に支払われるものだからです。これから決める場合も、それぞれの実情にあわせ、例えば大学に進学している場合にはその卒業にあわせて明確に終期を定めておくと良いでしょう。

コラム:退所のご挨拶

事務局 永谷 美代子

 この2月に40年お世話になった事務所を退職しました。

 入所当時、文書の清書はまだ和文タイプで、それがワープロになりパソコンが入ると、事務作業は格段に便利になりました。アナログ人間にはついて行くのが大変でしたが、若い事務局に教えてもらいながら、なんとかやってきました。

 思い出はたくさんありますが、夜遅くまで打ち合わせをしていた女性たちのことが忘れられません。職場で差別を受けていた方たちが、裁判に立ち上がったのです。彼女たちの真剣なまなざしと、打ち合わせが終わった後の明るい笑い声。均等法成立の裏には、彼女たちのようなたくさんの方たちの努力があったことを知りました。他にも、差別や冤罪、公害被害を闘う人たちの姿を間近にして、世の中の理不尽さとともに、人ってすごいと何度も思いました。

 担当した多重債務の若者から「頑張れって言われたから、最後まで頑張れました」と電話を頂いたことも、嬉しい思い出です。

 私は家族的な雰囲気の職場で、尊敬する仲間と長く一緒に働くことができて幸せでした。

 最後に事務所のご縁でお付き合い頂いた世田谷・目黒のみなさんにも心から感謝申し上げます。

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