事務所ニュース:No.86 2020年9月25日発行

新型コロナウイルスに関する法律問題

弁護士 吉田悌一郎

 新型コロナウイルスに伴って問題となり得る法律問題についてまとめてみました。

◆ コロナを理由とする解雇について

 コロナウイルスによる会社の業績悪化を理由に従業員を解雇する例が見られます。しかし、コロナだけを理由に解雇することはできません。会社の業績悪化に伴う解雇の場合、整理解雇の4要件(必要性、解雇回避努力、選定基準の客観性・合理性、説明義務)を満たす必要があります。

◆ コロナを理由とする休業の場合

 使用者の判断による休業の場合は、従業員は使用者に対して休業手当を請求できます。この場合、要件を満たせば使用者は雇用調整助成金制度を利用することが可能です。

◆ 持続化給付金について

 中小企業や個人事業主などが、一定の要件(業績の悪化)を満たせば、事業の支援金として法人で最大200万円、個人事業者で最大100万円が支給される制度です。

◆ 家賃支援給付金について

 中小企業や個人事業主などが、一定の要件(業績の悪化)を満たせば、家賃支援給付金として、法人で最大600万円、個人事業者で最大300万円の補助を受けることができる制度です。

◆ 住宅ローン減免措置について

 コロナの影響で住宅ローンの支払いが困難になった場合に、住宅ローンを減額や免除する制度の導入が検討されています(2020年8月現在)。

首都圏建設アスベスト 東京第2陣訴訟判決 2020.9.4

弁護士 森  孝博

▼9月4日、東京地方裁判所第1民事部(前澤達郎裁判長)で、首都圏建設アスベスト東京第2陣訴訟(原告数121名)の判決が言い渡されました。この判決で、東京地裁は、建材に含まれるアスベスト(石綿)によって命や健康を奪われた建築作業従事者の被害について、被告である国と建材メーカーの責任を認め、国と建材メーカー5社に対し、総額約12億7000万円の支払いを命じました。

▼2012年12月5日に同じ東京地裁で言い渡された東京第1陣訴訟地裁判決では、初めて国に勝訴したものの、一人親方や事業主であった原告の請求は認められず、また、建材メーカーの責任も認められませんでした。それから約8年、ようやく東京地裁の前で「一人親方も国に勝訴」、「建材企業に勝訴」の旗を掲げることができました。

▼一方、全員勝訴とはならず、国や建材メーカーも控訴する見通しなので、まだ裁判を続けざるをえません。しかし、先行する神奈川第1陣訴訟では10月22日に最高裁で弁論が開かれることになりました。全国各地の裁判所での度重なる被告敗訴判決にもかかわらず、ここまで解決を引き延ばしてきた国や建材メーカーですが、いよいよ最高裁においても責任が断罪される可能性が高まってきました。提訴から約12年、解決を見ることなく原告のみなさんが次々と亡くなる大変長く苦しい事態が続いていますが、建設アスベスト訴訟の全面解決と、すべての建設アスベスト被害者を救済するための「補償基金」制度創設の実現に向けた大山場を迎えています。引き続きご支援・ご協力のほどよろしくお願いいたします(当事務所から小林容子弁護士、山田聡美弁護士、私が弁護団に参加しています)。

コラム:ドリトル先生100年と私

弁護士 萩尾 健太

 ヒュー・ロフティングの名作児童文学「ドリトル先生」シリーズ、今年は、その第一作「ドリトル先生アフリカ行き」刊行100年に当たる。映画「ドクター・ドリトル」も上映中だ。でも私はたぶん見に行かない。ドリトル先生は、太っちょで団子鼻でなければならないからだ。

 ドリトル先生は私の愛読書で、小学生の時の誕生日やクリスマスのプレゼント、上京してきた祖父に買ってもらうもの、と言えばハードカバーの「ドリトル先生」シリーズ(全12巻)だった。買ってもらう前にも図書館で借りて読んでいた。

 最近、懐かしくてざっと見てみると、この「ドリトル先生」が、私が弁護士になったことに大きな影響を及ぼしているのではと思った。ドリトル先生は動物語が話せる医者で、階級差別や人種差別の激しい19世紀に、人間はもちろん動物・昆虫とも意思を通じて分け隔てなく接する。全巻を通じて何度も投獄や逮捕・捜査されている。裁判に出廷し冤罪の被告人を救ったこともある。逮捕や捜査の理由は、サーカスで虐待されていたオットセイやペットショップに監禁されていた鳥を救出したことなどだが、裁判にかけられても動物の権利を打ち立ててやる、などと息巻く。奴隷商人から奴隷を解放したり、弾圧を逃れた革命家を助けたりする。労働争議も登場する。

 今読み返せば、内容がもっとよくわかると思う。その時間がないのが残念だ。

 地球温暖化により自然が破壊され、多くの動物が絶滅の危機にあり、人間生活も脅かされている現代に、ドリトル先生が生きていたら何と言うだろうか